2014年2月4日火曜日

労農派の歴史研究会第156回例会報告

本文の中に、「企業内にあるのは共同決定法にもとづく従業員評議会であって、日本のような労組の「下部組織」は存在しないということは、昔、聞いたことがあるような気がするが、改めて日本との違いについて、驚かされた。 ドイツでは、労組が企業の外にあり、その労組の組合員が企業と契約を結んで働く、という仕組みになっている。企業に所属する労働者が結びついて労働組合をつくるというのではない。だからドイツの労組では、企業と労働組合幹部が癒着するという事態にはなりにくい。双方とも、結ばれた契約にもとづいて行動するのである。癒着もないが、労使交渉が妥結した後で職場闘争でより有利な条件を認めさせるというような行為もしない。労働条件を変えるには、改めて交渉をし直すしかない。そういう歴史をふまえた、労働組合運動なのである。

 日本の労働運動が活発であった頃には、日本の運動ほうがよく見えた。労使交渉が終って協約が結ばれても、職場闘争の成果として、それ以上の労働条件を獲得することが、たいへん立派な階級闘争だと思われた。しかし、現在の日本では、労使交渉で何か決めても、職場では、サービス残業が横行している、つまり労使交渉で決めたことが守られていない職場が多い。有給休暇は、西欧では100%使うことが当たり前だが、日本では活動家でも100%はなかなか使わない。執筆者の村田さんは、日本の労働組合運動も体験しているので、この違いが良く判っていて、書いたのだと思われる。

 労働組合運動の成立、その後の発展の経過が違うので、組織のあり方についてどちらが良いかは、簡単には言えない。どちらかが良いと思っても、簡単に選択、変更できるわけではない。しかし、ドイツをはじめとする西欧の労資関係において、双方が交渉の結果を大事にしている(もちろん、交渉の結果を守らなければペナルティーが大きい)ということは、日本の労働運動ももっと学んで良いのではないだろうか。

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