2012年7月27日金曜日

労農派の歴史研究会第140回例会報告

どういう議論をしたかは覚えていないのですが、前回のレポートに、次のようなくだり
が引用されています。

  「社会党は政権を担当することなく、否、それ故にこそSPDと比べてfるかに強力な政治的影響力を行使することに成功した、。…それ故、日本社会党はこの効果的影響力のチャンネルを失うリスクを犯して政権党に脱皮するごとに躊躇し続けることになった。」(大嶽秀夫『戦後目本のイデオロギー対立J  197~198頁) 「…社会党の長期低落は、代議制民主主義に対する不信の当然の帰結であったと言わざるをえない」(同199頁)

  「五五年体制」にそういう面があったのは事実である。社会党・総評の大衆運動を背景にした要求を自民党がある程度飲んで「円く収める」という于法で、諸問題の決着がつくことが少なくなかったからである。それが「SPDより強力な政治的影響力の行使」であるかどうかは別として、政権をとらなくても、ある程度の成果は得られたのである。

 そういう成果の上げ方では、社会党の影響力は持続できない。だから「社会党の長期低落は、代議制民主主義に対する不信の当然の帰結であったと言わざるをえない。」(同199頁)とこの著者は、見ている。

 この評価が、すべて的確というわけではないが、「そういう面もあったなあ」という感じは否定できない。「五五年俸制」というのは、そのような「自社共存体制」だったからである。われわれはそれを批判し、否定してはいたが、組織・運動はそういう体制に安住してしまっていた。

 ソ連崩壊後の社会主義運動の全般的後退という情勢(とくに日本では総評の解体と重なったために打撃が大きかったのだが)の下で、日本の社会主義運動・労働運動は、西欧の運動以上に、落ち込んでしまった。部分的な「他力本願」はどこにでもあることだが、自前の大衆運動と組織的影響力が弱かったことが、我々の社会主義の弱点であった。

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http://www5f.biglobe.ne.jp/~rounou/rounouha.htm

2012年7月26日木曜日

現代社会問題研究会2012年夏季研究集会

毎年恒例の現代社会問題研究会夏季研究集会が、今年も開催されます。
案内文を転載します。

2012年度夏季研究集会のご案内
 今年度の夏季研究集会は、欧州の財政・通貨危機を巡る状況を考えます。その趣旨は以下の通りです。
2008年末の金融危機以降、世界の経済は、まさに「薄氷を踏み」ながら一進一退を繰り返しています。2009年の世界同時不況、2010年の不況からの出口政策の模索そして昨年来の欧州の財政・通貨危機の再燃と、金融資本の横暴の前に不安定さを増しています。
と同時に、現代資本主義国家の対応も、当初の緊縮財政の追求から、金融資本の規制(中核的自己資本比率やマネーゲームの規制等)や財政規模の拡大へと大きくぶれながらも、新自由主義的な政策から決別する方向へと向かっていると考えられます。政治的には、フランス大統領選挙における社会党候補オランドの勝利が象徴的出来事でした。
もとより、資本主義の不安定さの増大の中で、政治的な混迷は収まる気配を見せてはいませんが、かつての1929年世界大恐慌に対して、古い資本主義の衣を脱ぎ捨て、ケインズ政策を軸にした戦後社会の再構築が図られたように、新しい社会の構想とその組織化という課題は、どのような政治勢力も避けて通ることのできない状況にあります。
2008年金融危機以降の世界は、歴史的分岐点にあると言えるかもしれない。その検証には現代資本主義の様々な側面を分析しなければなりません。まずは、昨年来の欧州における財政・通貨危機の実態と、それが社会や政治に与えている影響を知ることから始めたいと思います。

開催日時 2012年8月25日(土)午後1時00分~5時00分
開催場所 立教大学 12号館地階会議室  *JR池袋駅より徒歩10分
報告   Ⅰ 欧州の財政・通貨危機         北村巌氏
      Ⅱ フランス左翼の政権復帰とその意味(仮) 松村文人氏
 参加費 1000円     *終了後懇親会(4000円程度)も予定しています。ご参加を。
現代社会問題研究会   佐賀大学経済学部 平地一郎研究室気付
0952-28-8459 E-mail: hirachi●cc.saga-u.ac.jp
*●を@にかえてください。

現代社会問題研究会の詳細は、同会HPをご覧ください。
http://www.geocities.jp/gensya2004/index.html

2012年7月22日日曜日

社会主義理論学会『資本主義の限界と社会主義』刊行


社会主義理論学会から論文集『資本主義の限界と社会主義』が刊行されました。社会主義理論学会4冊目の論文集です。
目次は以下の通りです。

はじめに 西川伸一
第1部 資本主義の行き詰まり
第1章 鎌倉孝夫「体制」変革の理論と実践
第2章 森本高央 証券化資本主義の破綻が招くドル基軸通貨体制の終焉
第3章 瀬戸岡紘 近代社会と市民にかんする一一般理論序説
一新しい社会主義像を構想する手がかりをもとめて

第2部 中国の経験を振り返る
第4章 大西 広 毛沢東、文化革命と文化の次元 
第5章 瀬戸 宏 戦後日本の中国研究
--日本現代中国学会を中心に

第3部 社会主義の新たな可能性
第6章 田上孝一 マルクス疎外論の射程
一新たな社会主義構想のためにー 
第7章 山崎耕一郎 労農派社会主義の原点と現在
--山川均論を中心に--
第8章 紅林 進 ベーシックインカムと資本主義、社会主義
第9章 松尾 匡 リスクと決定から社会主義を語る

おわりに 田上孝一
入会の呼びかけ・会則・論文集既刊・研究会の歩み・執筆者略歴

社会主義理論学会編 A5判並製 240ページ 定価 2800円+税
時潮社刊

2012年7月3日火曜日

平和友好祭中央祭典が17年ぶりに開催

平和友好祭中央祭典が17年ぶりに開催されるとのことです。
第37回中央祭典で、7月28日、29日両日福島県裏磐梯で開催予定です。
前回の第36回中央祭典は1995年開催です。平和友好祭運動も、社会党解体の影響を強く受けたことがわかります。
反原発運動の盛り上がりが、17年ぶり、福島での中央祭典開催につながったといいます。

詳細は下記に平和友好祭ニュースを転載しましたのでそちらをみてください。

*転載にあたっては、平和友好祭事務局の同意を得ています。

2012年7月1日日曜日

『社会主義』2012年7月号目次


又市征治◇野田政権下の政治情勢と私たちの課題

特集 世界と日本の経済・政治・労働

北村厳◇世界経済をゆるがす欧州危機

立松潔◇日本経済の現状と消費税増税

山崎耕一郎◇「西側」も力失い、新しい力が台頭

小笠原福司◇生産の矛盾と労働者状態

芳賀和弥◇アメリカ大統領選挙への視点



高田順次◇森林は共有財産

杉本龍紀◇計画と市場をめぐって

田本広◇思い出すことども 私と社会主義協会

大橋史恵◇北京からフェミニズムを再考する

足立康次◇「ドイツ左翼党綱領」の検討(下)

中村譲◇『ロシア社会民主労働党(ボ)第七回全国協議会』(一)